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「スポーツにはお金がかかる」(下)

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「ゲームとリアルサッカーを繋げる」をテーマにお送りする「リアルサカつくの世界」。第6回はスポーツビジネスを研究する江戸川大学准教授・澤井和彦氏にお話を伺った。

リアルサカつくの世界「スポーツにはお金がかかる」

スポーツ施設経営やスポーツビジネスの業界・経済規模・制度などを専門に研究する澤井氏は、東大勤務時代に施設管理者として新興スポーツであるフットサルに積極的に施設を開放するなど、現場のプレーヤーやファンの感覚にも理解のある研究者だ。今回はその澤井氏に、スポーツとお金の関係について話を聞いた。

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【スポーツの成果】
澤井○スポーツのサービスには経済学でいうところの「外部性」があるので、スポーツのコストをすべて市場で調達するのは困難です。外部性というのは市場でやり取りできない価値のことです。スポーツにはその直接的な効用だけでなく、教育的、医学的、経済的な副作用があって、そうした効果についてはサービスを供給する側に対価が支払われないため、常に過小供給になるので公的に支援する必要があるというわけです。

しかし、述べたように現在は政府も自治体も財政状況の悪化に苦しむ一方で、さまざまな社会問題に直面しています。こうした状況はどこの先進国も共通で、とくにアングロサクソン諸国では公的支出に対して明確な成果を求め、これを評価しようという業績評価の考え方が広がっています。

たとえば、イングランドのコヴェントリーシティ・FCのフランチャイズである「リコー・アリーナ」は、市によって荒廃した地域の再開発に位置づけられて、ほとんどが公的資金によって建設されました。その結果、市によればアリーナだけで2,700人の雇用を生み出し、貧困地域住民の平均所得を5%上昇させたと報告されています。また、スタジアム内には市民ホールや教育施設が設置されて地域住民に開放されるとともに、地域の子どもの課外教育や若年者の職業教育などの公共サービスが提供されています。
参照:http://www.j-league.or.jp/100year/stadium/pdf/01.pdf

つまり、スポーツに公的資金を投入するのであれば、その外部効果を曖昧なままにせずに「成果」として明示すること、そしてその成果は公共の社会問題の解決につながらないといけない、というわけです。

だから、たとえば「スポーツでみんなを元気にする」というような抽象的なものは、基本的にダメです。じゃあ負けて不愉快な思いをしたら金返してくれんのかと(笑)。「スポーツには教育的効果がある」というのも、教育効果と呼ばれるものには検証の難しいものが多いので注意が必要です。来年度から中学校の体育で男子は武道、女子はダンスが必修になりますが、「伝統と文化の尊重」という教育目標は、検証不能で議論しようがない。

たしかに、スポーツの成果のなかには検証の難しいものも多いでしょう。全国テストの結果を県別・学校別に公表するかしないかで大騒ぎになるような国で、業績評価のような制度がなじむかどうかもわかりません。しかし、検証不可能な成果の最大の問題は、それがしばしば責任の不在につながるということです。それはモラル・ハザードの前提条件になるし、公共投資の有効性や効率性を陥れます。だから、たとえ形式的にでも成果を求め、成果を検証する制度を確立していく必要があると思います。

【スポーツビジネスの進化】
一方で、スポーツの外部性の少なくとも一部については、ビジネス・モデルやテクノロジーの問題でもあります。むかし空き地で野球をやっていた時代には、観戦者からお金を取ることができず、「スポーツを観て楽しむ」という効用は外部化されていました。それが、スタジアムが建設され、観戦者からもれなく入場料をとれるようになってその価値が市場メカニズムに内部化されたというわけです。

そしてここ20~30年くらいの間に、さまざまなスポーツのビジネス・テクノロジーやビジネス・モデルが開発されています。マーチャンダイジングやエンドースメントやスポンサーシップ、最近ではスタジアムの名前を売ったり、スタジアムにホテルやショッピングセンターを作ったりというように、新しい商品を開発して市場に流通させ、価値の最大化を図っています。

たしかにまだ市場も未成熟だし、独占・寡占による失敗も多い。イギリスではクラブの株式上場までいったところで行き過ぎた感が広がり、現在はお金持ちのオーナーが所有するという伝統的なスタイルに戻りつつあるそうです。ただ、こうしたスポーツ価値の最大化を図るインセンティブを引き出すという市場の機能は、もう少しポジティブにとらえた方がいいと思います。

【Jリーグの成果】
たとえば、Jリーグは、企業スポーツだったJSLから考えると、その価値は飛躍的に増大しています。2007年度のJリーグ31クラブの営業収入合計が740億円、1クラブ平均24億円です。企業チームの年間コストは正確にはわかりませんが、もちろん比較にならないでしょう。さらに入場者数はけた違いの躍進で、Jリーグは世界第5位の入場者数を集めるサッカーリーグになっています。

一方で、Jリーグの最大の課題のひとつはスタジアムでのビジネス機会をほとんど失っていることでしょう。それ以外にも下位クラブの経営問題など課題は多い。しかし、強化や普及の原資を自分で稼ぎつつ発展するという経営のミッションは、方法論や実績の評価はともかく、従来のアマチュアスポーツの制度とは一線を画しています。「儲け主義」批判が単純すぎるという意味がわかっていただけるのではないでしょうか。

【「サカつく」ビジネスゲーム】
たとえば、公共セクターとの交渉やさまざまなビジネス・モデルによってサッカークラブの社会的便益を得点化する機能を「サカつく」に組みこんで、本格的な「ビジネスゲーム」として売り出してほしいですね。そしたら授業で使いたい(笑)。自治体に交渉してスタジアムの興行権を獲得し、地域貢献と収入増加を図る。クラブの売上や利益に加え、地域の家計所得や失業率、教育水準、犯罪発生率などの社会経済統計値で優劣を競う。株式上場してキャピタルゲインを狙ったら株が暴落して負けるとか(笑)。「サカつく」というより「シムシティ」ですね(笑)。

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「スポーツにはお金がかかる」。サカつくユーザーならその言葉の意味も理解できるだろう。今ではすっかり当たり前になっているが、選手獲得やクラブ運営などのバックグラウンドをゲームの中に取り込んだのが「サカつく」の先進性だった。そのサカつくシリーズのオンライン版「サカつくONLINE」は、4月22日に大幅リニューアル。「サカつくONLINE2」として生まれ変わる。

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澤井和彦
江戸川大学社会学部経営社会学科スポーツビジネスコース准教授。早稲田大学スポーツビジネス研究所客員研究員。大学・社会人ではアメリカンフットボールをプレー。92、93年の日本選手権ライスボウル出場。東大助手時代には御殿下カップで有名な御殿下記念館の管理者として学内のフットサル普及に一役買った。
http://www.spobiz.net/

サカつくONLINE

http://www.sakatsuku-online.com/

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