「どう?日本はベスト4行けそう?」という人へ
2010年3月29日
24日に発売されたサポティスタ岡田の新刊「日本サッカーが世界で勝てない本当の理由」の感想、いくつかいただいたので紹介していきます。
「いや、実にいろいろな資料をよく読んでいる方だなと、本を読んで思いました。
現代日本サッカーについて、社会学の参考書にもなるほど情報が満載です。」(千田善)
千田さんはオシムさんの通訳さん。著書に「オシムの伝言」などがあります。
「とりあえず、これから南アW杯まで「どう?日本はW杯ベスト4行けそう??」という質問をしてくる人に対しては、本書を読むことを強くオススメしようと思います(決して『0勝3敗』ではなく)。それほど本書には上記の質問をされたときの僕のモヤモヤした気持ちを代弁してくれるすべてが記されてます。もちろん僕の拙い説明より10倍はわかりやすく」(中林良輔)
中林さんは先日ミズノスポーツライター賞を受賞した宇都宮徹壱さんの著書「フットボールの犬」の編集者さん。
『日本サッカーが世界で勝てない本当の理由』感想ですが、「自分事」につらなる文化として、様々なスキルや関心のレベルに応じたサッカー文化の基本的な在り方をトータルに紹介していて、とてもバランスのいい本になっていると思いました。
個人的には、サッカー経験があるわけでもスタジアムに通うわけでもないけれど、代表戦やEUROをテレビやバーで観戦した後、スポナビブログとかを渉猟して人々が我が事のように戦術とかを語るのを眺めるのが好きな身なので、もうすこし戦術論とかがあってもいいなという物足りなさはあったのですが。
しかし、大マスコミレベルでのまさに「他人事」然とした無責任な報道などとは違う、トルシエの評価やサポーター文化などネットの論客たちやコアな批評誌などではかなり共有されているコンセンサス的な認識が、サッカーにあまり関心のない一般向けにわかりやすく開かれた点は有意義だと思いました。
で、これは前にも書いたけれど、やはり個人的なヒットはトータルフットボールでも4-2-3-1的なサイド攻撃論でもなく「ワーワーサッカー」の概要が、ついに公然と商業書籍の中で語られてることですかねw 「ツナギサワ」やら「ミョージンシステム」まで!! その筋の人には、これはアツい!
いずれにしても、身の周りのあらゆるものがウェルメイド化されて「他人事」となっている現代の消費環境を前提にして、いかにして妙な超越に陥らずに体験の直接性やコミュニティの再構築に資する「自分事」へと再編していくか。そうした文化の成立のさせ方を、サッカーから学べる本になっています。(中川大地)
熱い感想を頂いたのは中川大地さん。思想地図などに論文を発表している文筆家で、コードギアスの批評本『クリティカル・ゼロ』の編集者でもあります。最近は「森ガール」論でも有名に。

思想地図vol.4 特集・想像力 (NHKブックス別巻)

クリティカル・ゼロ コードギアス 反逆のルルーシュ
以下、ツイッター上の感想からいくつか。
「思っていたより思考の枠組みがでかかった。社会・文化まで踏み込んでは、考えていなかった」(mantanakさん)
「サッカー好きでない人には永遠に興味がないと思いますが、サッカーに某かの興味があって、もっと深く知りたいと思っている人には最適な本だと思いつつ読んでいます」(kogureさん)
「コンセプトがまさにすばらしいかと思います。今、日本代表のサポーターがみんな疑問に思っていることではないかと」(nori_takaさん)
「幅広い内容で、思わずうちの会社で使えないか考えてしまった。個人的には「ワーワーサッカー」とそのフォーメーションが超ツボです」(yazzy1973さん)
「文化として成熟しておらず、社会的なバックアップが充分ではない、という意見に賛同。僕がふだん、スタジアムにお客さんを呼ぶには、スタジアムを毎週祭の雰囲気にすればいい、と思ってるのにも通じるところがある」(rumkさん)
「まだ住んで3年だけど、他にホームタウンがないので、つくばFCをサポートしてみようと思った」(fujihiroさん)
「今の日本サッカーの状況が良く整理されている。他のサッカー本からの引用が多く、サッカー本の集大成とも言える。巻末の参考文献だけでも価値がある。サッカーに興味が無い人にもオススメできる良書」(rokotaroさん)
「ようやく「日本サッカーが世界で勝てない本当の理由」を読み終えた。感想は「買い」。日々色々なサッカー情報があふれかえる中、それらを実に見事に編集して書かれていて、分かりやすく読みやすいサッカー本になってる。こういう当たり前のことを当たり前に書くのは本当に大変だったろーなー。初心者はサッカーの楽しみを知ることができるだろうし、コアなサッカーファンは自分の頭の中にある日本サッカーに関することを整理するきっかけになるかも。ということで、ぜひ一読をオススメします」(ajikuta)
「日本サッカーが世界で勝てない本当の理由」感想と反応(togetter)
今回の本では、ピッチの中の問題から始まって、それを支える環境や文化、ビジネスに教育、そういった面まで含めて、いかに社会を巻き込んでサッカーの裾野を広げていくか、といった話を実例を多数盛り込んで紹介しています。全体の章立ては以下の通り。
第1章 日本人はサッカーの本質を知らない
第2章 日本サッカーは世界とどう戦うべきか?
第3章 黄金世代を超える選手をどうやって育てるのか?
第4章 人と社会をつなぐ地域のスポーツクラブ
第5章 Jリーグとともに根付き始めたサッカー「文化」
第6章 百年遊べるサッカーの魅力
目次はこちら。
第1章 日本人はサッカーの本質を知らない
日本人はフットボールの「フ」の字も知らない
サッカーをゲームとしてシンプルに捉える
良く走るけど賢さが足りない
自分の手牌だけを見て麻雀を打っているようなもの
どこでどれだけリスクを取るのかがサッカーの肝
ロナウジーニョをディフェンスに回らせる
試合は何らかの形で均衡が崩れるところから動きだす
FWが点を取らなくてもチームは勝てる
ゴールに流し込むイメージで
なぜ日本人はシュートを打たないのか
岡田監督と「秘密の鍵」
トルシエ監督が開いた「秘密の扉」
宮本恒靖の「造反」
「個」と「組織」は対立概念ではない
第2章 日本サッカーは世界とどう戦うべきか?
日本にはすでに独自のサッカースタイルがある
勤勉で愚直な日本サッカー
献身的なプレースタイルを武器に
日本選手の長所を最大限に生かした「ワーワーサッカー」
日本の長所を生かしたサッカーをするためには外国人監督が望ましい
日本サッカー界には歴史の積み重ねがない
一貫して一貫性がない日本代表監督選考
日本サッカー協会は世界の壁に跳ね返された現実を見せていない
日本のサッカー関係者は「社会」が見えていない
岡田監督が目標を「ベスト4」と語るわけ
もっと走れ、もっと戦え、もっとリスクを冒せ
現状の日本代表チームでは、とてもW杯で戦えない
弱者の戦略を徹底できるかがカギ
日本人だけで戦うワールドカップ
第3章 黄金世代を超える選手をどうやって育てるのか?
壁にぶつかる日本の選手育成
豊かな国の戦い方
教えるのではなく、考えさせる。やらせてみて、見守る
サッカーを「みんなのもの」にすることが必要
成長のカギは「自分で自分を磨く力」
成功への道は一つではない
育成年代には人を育てることのスペシャリストを
10年後に効いてくる注射
サッカーを「教育」の枠に閉じ込めるな
「サッカーを読む」力が不足している
世界と互角に戦うためにはスポーツバカでは通用しない
サッカーが社会を変えていけると信じている
第4章 人と社会をつなぐ地域のスポーツクラブ
「勝利」「普及」「市場」の大きな三つの柱
いつまでもあると思うな170億
スポーツが社会のインフラになっていない
サッカーが社会に根付くことでの社会のメリット
愛媛にJリーグが出来れば、そこがディズニーランドになる
試合は地元のお祭りでありスタジアムはランドマークに
日常生活とつながるスタジアム作り
人と社会をつなぐ存在としてのスポーツクラブ
家族・仕事が最優先。できる範囲でフットサル
VIPルームにはビジネスチャンスが転がっている
地域のスポーツクラブは「グローバル」と「ローカル」をつなぐ
いつでも、どこでも、だれでも楽しめるフットサル
第5章 Jリーグとともに根付き始めたサッカー「文化」
サポーターは「消費者」ではなく「文化の担い手」
「大人のサークル活動」であるサポーター共同体
サポーター共同体は世代や性別を超える
浦和レッズはなぜ成功したのか
浦和にはサッカー文化の土壌があった
チームは負けても俺たちは負けない
「サッカー」「ビジネス」「地域」の三つを押える
草サッカーからでもJリーグのトップになれる
すでに地域に根付いている共同体との連携を進める
親会社の撤退で地域に根ざした市民クラブへ
野球に比べればまだまだ支持基盤は薄いし歴史は浅い
第6章 百年遊べるサッカーの魅力
スポーツビジネスの六つの特徴
ファンの忠誠心の高さがサッカービジネスの最も大きな特徴
戦力の不均衡は前提、与えられた条件の中でのベストを
サッカークラブほど潰れないものはない
「体験」に勝るコンテンツはなし
百年遊べる遊び
中田英寿、名波浩が示した可能性
日本が将来、W杯優勝を争うような国になるために
未完成が故に日本サッカーには大きな可能性がある
どうぞ、よろしくお願いします。






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