サポティスタ岡田がWiiイレ・長曽我部プロデューサーに会いに行く(中)
岡田康宏(サポティスタ)
発売直前に紹介して以来、サポティスタで何度も取り上げているサッカーゲームの革新、Wiiのウイイレ「ウイニングイレブンプレーメーカー2008」、通称「Wiiイレ」。

3月某日、六本木のコナミ本社に伺い、本作のプロデューサーである長曽我部明義さん、プランナーである田谷淳一さんのお2人に話を聞いてきた。
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プレーメーカーで動きを覚えました
-- ちょっと逆取材みたいな形になってしまうんですけど、岡田さんはプレーメーカーのどこがおもしろかったんですか?
岡田●なかなかうまく説明できないんですけど、最初にあがっていた動画を見て、これはやらなきゃって思ったんですよね。ひとつは試合全体を俯瞰の目で見れるってことですよね。うちのテレビは4:3なんですけど、ワイドの画面でやりたくなる。
田谷○このゲームは、ワイドの方が確実に有利ですからね。
岡田●このゲームの感覚って、自分が普段、スタジアムで試合を見ているときの感覚に近いんですよ。僕はいつもだいたい次の展開を予想しながらピッチを見てるんです。あそこにパス出ればチャンスになるなとか、このスペースに出されたら危ないなとか。今、前線の選手が動き出したな、とか、でも今のタイミングだとオフサイドだな、とか。サッカーって、ピッチ上で見ている選手よりもスタンドから見ている観客の方が、試合全体の展開がよくわかるスポーツじゃないですか。そうやって普段試合を見ながら考えていることを、実際に自分で選手を動かして試してみれるのがおもしろいですよね。
長曽我部○ダバディーさんにもそれに比較的近いことを言っていただきましたね。日本のテレビは選手のアップが多いけど、本来サッカーは広い視点で周りの動きを見せるものだろうと。
岡田●普段スタジアムで見ている人は、いつもピッチ全体を見ているので、そういった視野の違いはわかりやすいと思いますね。TVで見ているとクロスがあがって、ゴール前にカメラがパンして、ボールが落ちてきて、やっと飛び込んできたFWが画面に入ってくるわけじゃないですか。でも、スタジアムで見ていれば、どこにどのタイミングで選手が飛び出してきて、誰がフリーでどこにクロスがあがれば決定的な場面になるのか、サイドを選手が駆け上がった瞬間から、ゴール前の攻防まですべてが同時進行で目に入ってくるわけですよ。そうやって、2手3手先の展開を読みながら試合を見る感覚に、このゲームは近いんじゃないかなって。

・ゴールキックからシュートまでピッチを広く使った一連の流れ(画像をクリックすると動画へ)
長曽我部○我々の夢としては、今中学生くらいのこのゲームで遊んでいる子供が何年後かにプロになって「プレーメーカーで動きを覚えました」って言ってくれるとうれしいんですけど。
田谷○ヨーロッパのとあるクラブの育成のコーチの方にこのゲームを見せたら「動き方を教えるのにすごくいい」と言ってくださったそうなんですよ。矢印や線で動きが見えるじゃないですか。どこでどう動いて誰がフリーになったのかがわかる、だから動き方を教えるのにわかりやすいと。もちろんゲームとして楽しんでもらえるのが一番なんですけど、ゲームで遊んでいるうちに、フリーになる動きやディフェンスを崩す動きがわかったりしたら、うれしいですよね。このゲームでも、オフサイドにかからないように、ディフェンスラインと平行に走りながら裏に飛び出していくようなプレーが全くそのままできるし。コーナーキックで、わざとマークを引っ張ってスペースを空けて、そこにもう一人飛び込んでくるみたいなプレーもできるし。
長曽我部○だからネットで「プレーメーカーをうまくなるために現実の試合を見よう」って書かれていたのはうれしかったですね。実際のサッカーでいいプレーを見たら、それがゲームの中で再現できる、というのが理想だと思っているので。
岡田●それを遊びながら覚えられるのは理想ですね。ゲームで遊んでいるうちにサッカーがうまくなる。
追い込んで行って挟んで刈り取る
岡田●僕は、自分でフットサルをやっていても、どちらかというと守備に意識が行く性格なんで、このゲームのディフェンスはやりがいがありますね。
田谷○このゲームのディフェンスは、キーパーに近いと思うんですよ。そこ当たりに行け、そこはカバーしろって、後ろから指示の声をだしている感覚で。ディフェンスのおもしろさがわかる人は、このゲームはとくにやりがいを感じていただけるかと思いますね。僕も実はDFだったんですけど。
岡田●ディフェンスって相手を読むのがおもしろいじゃないですか。
田谷○そうですね。ディフェンスは、相手の動きを読み切ってボールを奪うのが気持ちよくて、これまでのサッカーゲームは一対一の緊張感はあったとおもうんですけど、そういった駆け引きの部分の楽しさって、なかなかなかったと思うんですよ。こう来て、こう来て、最後はここでしょみたいな、最後はギャラスが刈り取るみたいな(笑)。そういう感覚は、今までのサッカーゲームにはなかったものだと思うんですよね。
長曽我部○プレスで狭いところに追い込んで行って、待ち構えていて、挟んで刈り取るみたいな。
田谷○してやったり、という感じですよね。
岡田●そういった駆け引きの楽しさはありますよね。

・スルーパスをキレイに刈り取るフィオレンティーナのディフェンス(画像をクリックすると動画へ)
長曽我部○従来のウイイレのような相手をかわす爽快感もあると思うんですけど、それとは違うおもしろさがあると思うので。
岡田●これは読み合いのおもしろさですよね。
田谷○瞬間瞬間の読み合いや駆け引きの積み重ね。実際のサッカーがそうだと思うんですけど、その部分は、従来のサッカーゲームより大きいかもしれないですね。
岡田●だから、何も考えずマンマークばかりしていると、やられると(笑)。
田谷○マンマークも一つの戦術ですし、適切なマンマークをされるとなかなか崩せないですけどね。
長曽我部○Wi-Fi対戦で、ちょっとボールを持ちすぎるとその間に周りの選手がみんなマンマークされていて、どうすればいいんだってことはありますよね。
田谷○実際のサッカーでも遅攻で点を取るのは難しいですからね。実際ゴールにつながるのは速攻が多いし、このゲームでもそういったバランスになってますね。
岡田●駆け引きの妙みたいなのが大きいので、対人戦は今まで以上におもしろい気がしますね。ネット対戦も気軽にできるし。
長曽我部○Wi-Fi対戦に対応するのは、結構大変だったんですけど、やって良かったなと思いますね。もちろん、ランキングや、プレイヤーの実力に応じたマッチングとか、足りない部分もあると思うんですけど。
田谷○対戦だと、負ければもちろん悔しいんだけど、上手い人のプレーを見て覚えるってことができますからね。
長曽我部○でも、あんなに早くみんなうまくなるとは思わなかった(笑)。
プレスにはロングボールで対応
岡田●今回は、操作感や発想が従来とは全然違うので、実は今までのウイイレをやったことのない人の方が入りやすいって言われますね。
長曽我部○とくに守備は、そうですね。従来のウイイレは基本的には一対一なんですけど、今回は考え方が全く違うので。今回はボールを取りに行け、という操作だけでは取れないんですよね。だから今までのウイイレに慣れている人の方が、守備に戸惑うという方が多いですね。
田谷○守備は、確かに皆さんがよく躓くところなんですけど、これも、最初に発想の転換をしていただきたいというのがあって。実際のサッカーでもそうだと思うんですけど、ボールホルダーへのアタックが第一だとして、危険な選手、危険なスペースもケアしている訳じゃないですか。ゲームでも、そこに目がいくようになると守備のおもしろさがわかってくるのかなと。最初は思ったところにパスが出せて、ヌンチャクを振ってシュートという、攻撃の直感的なおもしろさから入ってもらって、慣れてくると守備のおもしろさに気がついてもらえると思うし、そこに差が出てくるんですよね。
岡田●それは、すごくわかりますね。今回の守備って遅れていくともうダメじゃないですか。
田谷○そうですね。後手後手になると最後に一人空くんですよ。これも実際のサッカーと一緒で。
長曽我部○最初はボールホルダーにプレスに行くじゃないですか。どうしても取りたいときは、2度押すと2人アタックに行くんで、2人で行くと比較的奪いやすい。でもそれだけだと無理なんで、次は、ボールが渡る前にマンマークを付ける。予めマンマークを付けておくと完全にフリーにはしなくなる。Zボタンをうまく使えるようになると、マンマークからパスを警戒してインターセプトを狙えるようになる。だけど、全員にマンマークを付けちゃうと、飛び出してきた選手に対応できなくなる。
田谷○さっきの試合でも、そういうシーンありましたよね。
長曽我部○そうなると次に覚えるのは、カバーリング。守備の時にフリーランでちょっと動かすとそのエリアをカバーしてくれるので、これが使いこなせるとだいぶ守備は堅くなると思うんですよ。カバーリングにしておくと、ボールホルダーの位置を見て、ポジションを微修正しながら、一定距離まで近づくと取りに行く動きをするので。たとえば、相手がスピードに乗って駆け上がってきたときに、プレスだけだとうまくいかないので、一人はプレスにいって、もう一人はカバーリングにする。カバーリングにしてスペースで待ち構えていると、ドリブルで突っ込んできた相手に対して、足を出してかなりの確率でボールを奪えるんですね。
岡田●確かに、直線的にプレスに行ってしまうと、入れ替わられたり後ろから追いかける形になって、なかなかうまくボールを取れないんですよね。
田谷○実際のサッカーもそうですけど、正対するとボールを奪いやすいけど、体を入れられたり後ろから追いかける形になっちゃうと、なかなか取れないじゃないですか。そういう場合は、先回りして前から行った方が確実にボールを奪えるんですよ。
岡田●こないだWi-Fiで本当にうまい人と当たったら、一度ボールを奪っても、次の瞬間には周りの選手がみんなマンマークされていて出しどころがない。どうしようって迷っているうちにどんどんプレスかけられちゃって、ほとんど何もできないまま自陣でボールを奪われて、さらに波状攻撃をされて。
田谷○今はWi-Fiだと、ほとんど前線からマーク付けられますね。
岡田●うまい人は、そういった判断のスピードがどんどん速くなってるんですよね。いわゆるプレッシングって、相手の判断する時間とプレーするスペースをどんどん奪いながら追い詰めていくんですけど、それを見事なまでにやられまして、ほとんどハーフラインを超えられないような一方的なやられ方で。
長曽我部○目の前の選手からマークされていくということは、必ずどこかが空いてくるので、そういうときは、大きな展開を混ぜたり、敵陣のスペースに蹴り込んだりというのが有効ですね。
岡田●プレスの強い相手にはロングボールで対抗か。それは実際のサッカーでも日本代表の対戦相手がよくやるパターンですね。
気がつくとなぜかどフリー
田谷○攻撃に関しては、スペースを使うフリーランとか、徐々に成長していけばいいんですけど、守備は最初から全体を見なきゃいけないので、そこは少し難しいかもしれませんね。でもそこがおもしろいところなので、ぜひちょっとそこを練習して楽しんでもらいたいところですね。
長曽我部○ネットの反応を見ていても、最初は「守備難しい守備難しい」って言っていたのが、「だったらマーク付ければいいんじゃないの」ってことでマンマークが大流行して。今度は、マンマークを破るために、後ろからの飛び出しとかが出てくると、次にカバーリングが増えてきたりして。そうやって徐々に、工夫して習得していって、という過程があったので、それはかなりうれしかったですね。で、発売して2、3日したら、普通に強くなってました(笑)。
田谷○発売当初は、我々も少し余裕を持ってプレーできていたんですけど、1週間もすると本気でやらないと負けちゃうようになって、今はもう五分なんで。成長のスピードが速いですよね。もうちょっといい気分でいられるかと思ったのに(笑)。
長曽我部○はじめは、我々もちょっと手加減する余裕があったんですけど、最近はもう、そんな余裕はない(笑)。
岡田●それだけみんな、夢中になって遊んでるってことですよね。攻撃の仕方や守備の仕方、いろいろ考えながらなやりますからね。マークの付け方を変えてみたり。
長曽我部○その辺、工夫できるところがおもしろいんでしょうね。
田谷○ただ単にマークを付ければいいというわけではなく……。
長曽我部○その辺がバランスで。全部マンマークで付くのではなく、一人くらいはカバーリングにしていると、フリーで入ってくる選手を捕まえられるんですよ。
岡田●でも、テンパるとつい、ボタン連打しちゃうんですね。
田谷○その辺も実際のサッカーと一緒ですよね。ゴール前でテンパると、なぜかどフリーな選手がいて決められちゃうことってあると思うんですよ。

・後手後手でマークに行くと中央に走り込んだ選手がどフリー!(画像をクリックすると動画へ)
長曽我部○私がやられるときもそういうパターンですね。「あっ!」と思った瞬間には、フリーで相手の選手がいるんですよね。警戒しているはずなのに、ボールに目がいっている間にいつの間にか。気づくのは、相手がパスを出すのとほぼ同時ですよね。気がついた瞬間には、フリーの選手に決定的なパスが出ている。
岡田●気がつくとどフリーってのはありますよね。
田谷○前線がマンマークされていてパスの出しどころがない、というのは実際のサッカーでもよくある状況だと思うんですよ。相手が緩いプレスをかけてきて、すぐに奪いには来てないけれど、出すところもない。さて、どうしよう。そういった状況は、実際の試合の中でも、このゲームの中でもありますよね。そこで、軽く一発くさびを入れて、前を向けなかったら一旦戻して、ペナルティーエリアの周辺を回るようにパスを回しながら、相手のディフェンスの特徴を見定めて、どこで崩すか。そこを試行錯誤しながらやってもらえると、いろいろ工夫できるところもあると思うんですよ。
次回、下編に続く。
サポティスタ岡田がWiiイレ・長曽我部プロデューサーに会いに行く(上)
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