サポティスタ岡田がWiiイレ・長曽我部プロデューサーに会いに行く(下)
岡田康宏(サポティスタ)
発売直前に紹介して以来、サポティスタで何度も取り上げているサッカーゲームの革新、Wiiのウイイレ「ウイニングイレブンプレーメーカー2008」、通称「Wiiイレ」。

3月某日、六本木のコナミ本社に伺い、本作のプロデューサーである長曽我部明義さん、プランナーである田谷淳一さんのお2人に話を聞いてきた。
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キャンセルとZの使い方
岡田●個人的にはぜひ、対人戦のコツを聞きたいんですが。
長曽我部○コツはですね、守備に関してはカバーリングを使えるかどうかは大きな差が出ますね。たとえば、カウンター気味に突破されてディフェンスが薄い。とりあえず1人はプレスにいかせるんですけど、そのときにサイドにいるディフェンダーを中に引っ張ってカバーリングさせておく。スピードに乗った相手に対して一対一だとかわされる危険性も高いので、そういったときのために1人置いておく。そういったことができるかどうかで、だいぶ変わってきますね。
それから、攻撃のときにBボタンでパスを出すんですけど、Bボタンを押して溜めると、そのスペースに選手が走り込んでくれるので、タイミングを計ってパスを出す。この溜めるパスは使いこなせないと厳しいですね。
もうひとつ、フリーランの操作で、誰でもいいからこのスペースに走り込んでほしい、というときは、Aボタン2度押しで近くにいる選手が走り込むんですよ。
田谷○これは守備の時に便利ですね。空いているスペースがあって誰かカバーに入ってくれというときに、2度押しすると近くの選手がカバーリングしてくれる。

・スペースでAボタンを2度押しすると、近くの選手がカバーに入る(画像をクリックすると動画へ)
長曽我部○あとは、ゲーム的に言うとCボタンのキャンセルとZの使い方ですね。
田谷○Bで溜めてパスを出すときに、Zを押すと走り込む選手を変えられるんですよ。これもかなり有効で、最初にBで選手を走り込ませると、相手はそこに釣られますよね。そこでZでパスを出す対象を切り替える。と、相手の裏を付けるわけです。
守備の時は、引っ張りディフェンスをしながら、Zを押すとボールを取りに行きます。それから、インターセプトを狙うときは、マンマークをしながらZを押しておくとパス警戒で相手の前に出るので、状況に応じて適切にZを使えるようになると一段階あがるかなと。
長曽我部○コーナーキックのときに中の選手にマンマークを付けて、ボールが出たタイミングでZを押すと相手の前に出るので、クリアーしやすいんですよ。そこでちょっと気をつけてもらいたいのは、Zを押したままだとクリアーしないので、相手の前に出たらZを離してクリアーしてもらうと。
田谷○Zを押したままだとパス警戒に専念していて、クリアーしないんですよ。それが操作しやすいかどうかは別として、論理的にはそういうことなので、クリアーするときはZを離してクリアーしてくださいと。
視界から消える動き
田谷○ただ、Zを押しっぱなしにしていると、後ろの選手が動いたときに反応が遅れるんですよ。この辺は、ディフェンスの視界を擬似的に再現しているんですけど、Zを押してマークした相手の前に出ると、マークした相手が後ろで動いたときに、気づかなかったり反応が遅れたりするんですね。

・ゴール前の選手に注目。DFがマークすると青い円が出る。パスを警戒して前に出ると黄色い円に。
このときマークしたFWが背後で動くとDFは相手を見失ってしまう。(画像をクリックすると動画へ)
岡田●うわっ、これすごいですね。
田谷○これも選手の能力によって、気付き方が変わってくるんですけど。
長曽我部○見た目はもちろんサッカーですけど、内部的にはプログラムの数字のやりとりなので、最初に作ったときはマンマークが強烈すぎて、相手にぴったりくっついたまま離れなかったんですよ。
田谷○まるで電車ごっこをしてるみたいな感じで。
長曽我部○それがあまりにも不自然だったので、選手も後ろには目が付いていないわけだし、だから相手の前に出て、マークする相手が見えないポジションに動くと、反応が遅れるように調整したんです。
田谷○Wi-Fi対戦でも、マンマークを覚えた後は、インターセプトを狙ってパス警戒を押しっぱなしにしている人は多いじゃないですか。でも、あれはディフェンス側は対応が遅れるので、押しっぱなしはかなり危険なんですよ。これはマニアックな部分なんですけど、サポティスタをご覧になっているような方だと、なるほどと思っていただけるかもしれないですね。
岡田●実際のサッカーでも、体の向きや視界というのは大切ですよね。FWには、DFの視界から消える動きが求められますし、サイド攻撃が有効なのもボールとマークする相手を同時に視界に納めるのが難しいから、という側面もある。
長曽我部○ゲームですから簡易的に表現しなければいけない部分はあるんですけど、お手本は本物のサッカーなので。その仕組みというのを、できる限り表現したいというのはあるんですよ。このゲームのおもしろさ=本物のサッカーのおもしろさ、というのが究極的な目標なので。
ドリブル突破の止め方、または「C・ロナウド、すげぇ!」
岡田●守備の面では、相手の単独でのドリブル突破をある程度止められるようになってからが、駆け引きの部分になると思うんですけど、ドリブル突破に対する対策とかってありますか?
田谷○一人マンマークを付けているだけだと、結構抜かれることも多いんですよ、ターン一発でやられたり。実際のサッカーと一緒で前後から挟めば、かなりの確率で取れます。あとはカバーリングを置いておいて、そっちに追い込めば大抵は止まります。C・ロナウドとか、実際のサッカーでも一対一だとなかなか止まらないですよ。でも2人、3人で行けば、ほぼ止められる。だいたいそのくらいのバランスになるように作ったつもりです。
長曽我部○ドリブルだけしていれば点を取れるのであれば、フリーランとかいらなくなっちゃうんで(笑)。たぶん、どんなに優秀な選手でも1人2人ならなんとかなるけど、3人来たら厳しいだろうと。そういうバランスで作っていますね。
岡田●僕はまだドリブルでやられるレベルなんで(笑)。
長曽我部○ネットで言われている「ゴリドリ」ですね。
田谷○実際、僕が真剣にやってC・ロナウドとかがドリブルだけで来て、完全に止められるかというと、正直抜かれることもあるんですけど、でも今お話ししたようなディフェンスのテクニックを使えば、簡単にやられるようなことはそんなにないので……。
長曽我部○それでやられたら「C・ロナウド、すげえな」と(笑)。
田谷○そう思って、さらに組織を磨いていただくしかないかなと。
長曽我部○今回は、パスやフリーランを中心にゲームを作っていますけど、ドリブルを軽視しているわけではないし、ドリブルなしではゲームは成り立たないし。そこは一番良いバランスはどこかというのを考えているだけなので。
岡田●ちょうど昨日、イングランドのある試合を見たんですけど、結局最後はドログバじゃん、みたいなのはありますからね。
田谷○僕もあの試合を見た後に、Wi-Fi対戦で相手がテルフィーを選んだので、僕はアーゼガムでやったんですけど、ドログバに思いっきり胸トラップから振り向きざまにボレーとか決められて、さっきの試合と一緒だよって(笑)。でも、そういう部分もサッカーですからね。すごい選手を抱えているチームは、戦術が選手そのものだったりするわけですから。
どんどんご意見をいただきたい
岡田●最後に、今後の展開について、話せる範囲で話してもらってもいいですか?
長曽我部○我々としては「いつ」というのはないですけど、これはこれでもう一つのウイイレシリーズとして続けていきたいので。今回やったコンセプトに関しては、より敷居を下げる努力をして完成度を上げていきたいと思っています。
岡田●でも、前例がないゲームだから難しいですよね。
長曽我部○難しいは難しいんですけど、今回が1回目だから最も難しかったと思うんですよ。こういうタイプのサッカーゲームは今までなかったから、全くゼロからのスタートでしたから。
田谷○以前から、ポイントして、そのスペースに選手を自由に動かせるというアイデアはあったんですけど、それを遊べるレベルまで形にするのはすごい試行錯誤したので。
長曽我部○たとえば、フリーランさせた先で、選手は何をするのか。たとえば、一番初めは、フリーランすると行った先ですぐ元のウイイレのAIに戻ったんですよ。そうすると、走っていった次の瞬間には戻って来てしまう。次に行った先で一定時間とどまるようにしたんですけど、今度は走った先で待っている選手ばかりが増えてしまう。何秒くらい待つのがいいのかとか。そういう試行錯誤を何度もしたので、たぶん次はもう少し楽になるはずだと。
田谷○今回プレーしてくださったユーザーさんの意見も反映しつつ。とくに周りの方で、サッカーに詳しい方の反応があれば、ぜひ聞かせてもらえるとうれしいですね。実際にサッカーに詳しい方がどう思うのかというのは気になるところですし、これからシリーズ化するにあたってどんどんご意見をいただきたいなと思いますので。
岡田●そうですね。とりあえず一度、遊んでみてもらって、そういったフィードバックによって更に次回作が充実すれば。それまでに僕も、もう少し腕を磨いておきますので(笑)。
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