コラム

サッカー棚のある書店(1)「紀伊國屋書店新宿本店」

岡田康宏(サポティスタ)

「サッカー馬鹿につける薬」の製作中、編集の小杉さんと「本屋さんでサッカーの本が充実しているお店ってなかなかないよね」「そもそスポーツ本の棚だって、しっかりしているところは意外と少ないんじゃない?」「書店の店員さんにはスポーツに興味のない人が結構多いんだよね」という話になった。

確かに本屋さんに行っても、サッカー/スポーツの棚は、わりと奥まったところにあったり、実用書の棚の中にひっそりと置いてあるだけのところも多い。サッカー関連の本自体は徐々に充実してきているとは思うけれど、やっぱり本は書店に並んでこそ。

ということで、せっかくの機会だし「サッカー馬鹿につける薬」発売のキャンペーンをかねて、サッカー本をポップ付きで並べてくれる本屋さんを伺って、担当の方に直接話を聞いてみようか、ということで生まれたのがこの企画。
 
第1回目は、書店や出版社の方が、どんな本がどれだけ売れているかの参考にするという大御所中の大御所「紀伊國屋書店新宿本店」に行って来ました。

紀伊國屋書店新宿本店フロアガイド
 
本館は1Fから8Fまで、隣接するコミックやDVDを扱う別館も合わせれば10フロアにも及ぶ大型書店。サッカー/スポーツの本が並ぶのは6Fの趣味・実用のスペース。


※こちらは書籍の棚。雑誌等は2Fにあります。

サッカー棚の担当は入社3年目の宇野さん。表紙のイラストにインスパイアされて作ったという、包帯をあしらった手作りポップと一緒にお出迎えしてもらいました。


※「図工が好きだった」という宇野さんのお手製ポップ。元「家庭の医学」担当らしく本物の包帯を使っています。

「実は私、こんなにきちんとサッカーの本を読むのは初めてだったんです。サッカーに関しては全くの初心者で、使用上の注意を見たら『全く知らない方は2007年あたりから読むこと』とあったので、2007年のところから読みはじめたんですけど(笑)。読んでいて思ったのは、サッカーだけではなく、それぞれの分野でそうなんですけど、すごく知っている人には優しいけれど、初めての人には疎外感を感じさせる本というのが多いんですよ。でも、この本は初めての人にもとっつきやすいというか、私にとっても優しい本で、すごく安心して読めました。表紙はすごくコアだけど、その分中身はフレンドリーで(笑)」

宇野さんは8月にスポーツの担当になったばかり。紀伊國屋書店では、店員さんは1年くらいで担当の部署をローテーションしていて、彼女はこれまで「料理」や「家庭の医学書」を担当していたという。スポーツ関連本の特徴は、と聞くと「季節によって売れ行きが全然違う」ことだという。

「スポーツはそれぞれの競技によって、盛り上がりの時期が違っていて追いつくのが大変なんです。盛り上がっているタイミングでしっかり売らないと、ぱったり見向きもされなくなっちゃったりするので。そのときの盛り上がりで、ワーッと来てワーッと去って、というものも多いんですよ。平積みになっているものだけじゃなくて、書棚に差さっているものも大切に売っていきたい思いはあります」

では、実際の入荷数や追加注文は何を基準に判断しているのだろう?

「似た商品の実績や話題性などを考えて、ちょうどいい数を注文するのが理想です。ただ、出てみないと分からない部分もあるので、入荷してから動きがあれば思い切って頼んだりもします。私は置く人の目線で見ますが、本を見る目ではお客さんには敵わないなと思うので、その動きはすごく参考にしています。みなさん、内容のいいものをちゃんと分かっているというか、選ぶ目で来ているので。お客さんの目で選んだものは確かだなと」

「自分が本を置くことでお客さんの反応があって、その反応を見て、私も本を置くことでメッセージを発信して、みたいな感じで。直接では全然ないですけれど、お客さんとコミュニケーションをとりながらやっている実感はあります」

書棚の一角には真っ赤な本のコーナーがあるが、これも「この時期、そういう本が増えてきて、それを置いていくと自然とそういうコーナーができあがって」というもの。先入観なく商品を選び、お客さんの声に耳を傾け、その反応を素直に反映した書棚作り。もともと目的があって足を運ぶお客さんが多く、またそこでの売れ行きが他店の参考になるお店らしい、王道的な書棚作りと言えるかもしれない。

ちなみに、ここ最近で調子の良い本は、と聞くと、山本浩アナと倉敷保雄アナの対談本「実況席のサッカー論」の名前が上がった。「発売前から問い合わせがあって、思い切って入れたらどんどん出ている」とのこと。僕もこれは読んだし、サポティスタで紹介もしたけれど、確かにお勧めです。できるなら「サッカー馬鹿につける薬」と合わせてのご購入を。


※取材に伺った日は棚に数冊残っているだけだった「実況席のサッカー論」

サッカー棚のある書店(2)「書泉ブックマート」
サッカー棚のある書店(3)「ブックファースト ルミネ新宿2店」

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