ゴール裏発のNPO法人「ハマトラ」が誕生

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横浜F・マリノスのサポーターによる統一的なサポート組織「ハマトラ」が、4月30日神奈川県による特定非営利活動法人の認証を取得し、日本初のゴール裏サポーターが主体となったNPO法人が誕生することになった。

これまで、サッカーサポーターによるスポーツ文化を盛り上げるためのNPO法人は多数存在したが、ハマトラは他の多くとは一線を画す存在だ。

SNSの運営によって数千人のサポーターを組織化し、応援活動をとりしきるだけではなく、試合告知のポスターを横浜全域に貼り続ける活動や試合告知チラシの配布、さらにはクラブハウスのあるみなとみらい地区の地域貢献活動に関与するなど、その活動はJリーグのサポーターの中でも異色の存在となっている。

ヨコハマは今「ハマトラ」がブーム?
http://supportista.jp/column/22

ハマトラの多岐にわたる活動をレポートしてきたサポティスタ編集部は、他に先駆け独占インタビューに成功した。「ゴール裏から出てきたNPO法人」が試みるものはなんなのか、そのビジョンはどこにあるのかを聞いてみた。

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サポーターはチームとともに闘うなかで感動を得る
ファンはお金を払って感動を買う

「これまでの『サポーター』概念をくつがえしたい。クラブと地域を結ぶ架け橋となりながら、日本独自のサポーターのソシオ化が大きなビジョン。法人化は、そのチャレンジの新しいステージです」

NPO法人ハマトラ・横浜フットボールネットワークの清義明代表理事は語る。

「サポーターというのは、自分たちの哲学の中では『消費者』ではないんですね。能動的にサッカーを中心とする文化にかかわっていく人たちが『サポーター』なんです。かつて、岡田武史さんは次のように語っていたことがあります。サポーターはチームとともに闘うなかで感動を得る、ファンはお金を払って感動を買う、と。自分たちがハマトラを通じてやってきたことは、まさにこのことです」

「チームとともに戦う方法はなんなのか? 目の前の試合を応援することもそうでしょう。しかし、それだけではなく、もっと何かあるのではないか。チケットやグッズを買って、それでチームに貢献したということもできると思いますが、それでカネ払っているからオレには権利がある、という論法は正しいのか? 少なくともそこに夢があるのか? Jリーグと日本のサッカー文化はそんな風にできているとはとても思えないですし、未来はそれでは描けないと思います」

「跳ぶ・跳ねる・声を出す、それはもっともサポーターらしい試合とチームに対するコミットのスタイルです。しかし、本当はもっと先があるのではないか。また、そういうスタイルでなく、試合やチームをサポートしていきたいという人はたくさんいる。むしろ、そちらのほうが多数派です。ハマトラはそういう認識のもとに集まって何かをやってきました」

「ハマトラには『サポーター』しかいません。サッカーファンの方には、それぞれのスタンスで、サッカーとヨコハマを楽しんでもらいたいと思っています。けれど、自分たちは違う。テレビを見て、スタジアムで試合を見て、それはそれでサッカー・カルチャーのひとつでしょう。しかし、ハマトラが目指しているのは、単にスタジアムの内外で騒いでいるだけ・・・それは自分もそうなんですが・・・・と思われているような私たちが、まったく違う力をもっていると証明することです」

「すでに、5年間にわたりいろいろな活動をしてきたなかで、むしろこれがしたい、あれをやらなければならないというものがどんどん増えてきている。ハマトラSNSだけで3000人のパワーがある。そのパワーをサッカーを盛り上げるための本当に具体的なことをしてきて、それを実績として積み重ねてきて、それからNPO法人化しました」

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サポーターのコミュニティが影響力を拡大するためには

「ハマトラはゴール裏の人間ばかりというわけでもありません。バクスタもいるし、二階もいる、事情があってスタジアムにこれない人もいる。試合そのものに対するスタンスも様々です。よく、自分はサポーターを『サラダボウル』に例えるのですが、レタスもはいっていれば、緑色のきゅうりもある。赤いトマトもあれば、黒いオリーブや黄色いパプリカもある。あ、これがシーフードサラダだったら魚介類もはいっているかも知れないし、シーザースサラダみたいにパンが入っているかも知れない。いろいろな人がいるから、栄養のバランスがとれている。それがとてもこのネットワークのパワーになっているんです」

しかし、行政と一体となった地域へのサッカー普及活動であれば、スケールは違っても各クラブのサポーターも様々な活動をしている。その中で、あえて法人組織にする理由はどこにあるのだろう。

「答えは簡単で、もっと大きなことをやりたいから。サポーターの自主運営・自主管理・自主財源が原則でやってきていて、それを拡大したいと思っています。それには任意団体だと限界がありすぎる。もちろん、だからといって、ゴール裏から発生するプライベートカンパニーにしてもしょうもない。だから、経理も財務もいっさい公開しちゃって、社員も気楽に集めることができるNPO法人は本当にちょうどよい存在ですね」

「別に難しい例えを出したいわけではないんですが、柄谷行人という人はカントをマネて次のように言っています。『倫理なき経済は空虚で、経済なき倫理はブラインドである』と。サポーターのコミュニティが、自分たちのパワーを拡大するには、夢だけではどうにもなりません。ここは解決したかったことです。それから、クラブや地域に対して責任ある主体でありたいからというのもあります。個人の集まった任意団体の立場では何も責任は取れませんし」

ヨコハマのサポーター文化は一度焼け野原になっている

NPO団体を立ち上げるにあたって、クラブとの関係はどうなっているのですか?

「クラブは営利組織です。それは否定できない事実です。だから本当は関わりあい方はとても難しい。これは、実際にクラブを相手にして活動をしてきたサポーターは皆感じていることでしょう。ましてや、カネを払っているんだからオレらは万能だ、オレらを楽しませろというような態度ならなおさらです。ここから抜け出さなければ、永遠にクラブ文化は不毛なままです」

「ただ、クラブは多くの人を相手にビジネスをしている。ひとりや任意の団体・・・つまりサポーターグループみたいなものですが・・・それらを相手に何かを積極的にやることができない。リスクも大きいでしょうから。だから、サポーターも襟を正さなければならない。まともにコミュニケーションがとれる実体にならなければならない。幸いなことにヨコハマのゴール裏とサポーターは、非常に良くまとまっている。ハマトラがこれの一助になってきているとも思いますが、このことは大きい」

サポーターの歴史的にマリノスはいろいろなこともありましたよね?

「ヨコハマのサポーターの歴史は波乱万丈です。自分もその中にネガティブなエピソードをつくってしまったこともあるし(笑) "F"の意味は皆知っているだろうと思います。ヨコハマのサポーター文化は完全に焼け野原になってしまったことがあるのです」

「先人たちや焼け野原の中からでてきた人たちが、クラブとポジティブな関係を結んできたかといえば、努力が実ったときもあるし、実らなかったこともある。それは大きな反省としてある。だから、新しい方法をあみださなければ前進はしないでしょう。そして、少しずつハマトラはクラブとの連携を深めてきたんです。もちろん、それはサポーター側の主体性を失わずにやってきています。そうしないと、サポーターはコミットできないのです」

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サラダボウルのサポーターの航海が始まる

横浜F・マリノス側と、ポスター配布や地域コミュニティへの貢献活動などで大きな協力関係を結びつつあることは、すでにサポティスタでもレポートしてきたことだが、今後はどんなことをしていくつもりなのだろう?

「ホームタウン全体をまきこむことです。この街には横浜F・マリノスがある、そういうカルチャーをつくりあげるための具体的なことを進めていきます。エリアマーケティングは、点と線の集約ですが、それをもっと濃密にしていきたいと思っています。商店街や地域の活動、学校や他のネットワーク、様々に連携していきます。どちらかというと、スタジアムの中から出て行って、違う文化をもった人たちと何かをつくりあげていきたいです」

「それと、もうひとつは、新しいヨコハマを愛する仲間を拡大しつづけていくことです。これが一番大切なことで、それを深めて独自な共同体をつくりあげたい。F・マリノス・サポーターというのは、すでにネットワークでありコミュニティです。そこにサポートすることによって何かを楽しむことができる、そしてさらにはそれが地域を盛り上げる、そういう思想を共有していきたいと考えています」

「サラダボウルのサポーターは、きっとそこから皆の立場でいろいろなアイディアを実現できるでしょうし、そのネットワークがヨコハマそのものを盛り上げていけると思います」

横浜は今年で開港150周年を迎える。マリノスはスペイン語で「船乗り」の意味。船乗りたちが、新たに母艦を中心に船団を組む航海をはじめるのだが、そこにはどんな宝島が待っているのだろう?

「船乗りというか、もしからしたらガレー船の囚人みたいなものかも知れませんが(笑) けれど、甲板にはチームがいて、それを支えるものがなければならない。それにポジティブな意味を見出すのは快感ですよね。それは本当の『サポーター』にしかわからないでしょうけれども。だから宝島は別にどこかに隠されているわけではなく、それぞれの心にあるものです。ヨコハマのサポーターはそれをきっと発見していくことでしょう」

ハマトラはJリーグサポーターの黒船になることができる存在かもしれない。

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NPO法人ハマトラ
http://hamatra.com/

ハマトラSNS(招待制)
http://hamatra.net

サポティスタ

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